2015年12月18日

シンプルニコン

前回の記事でニコンマウントのフォクトレンダーレンズを2本購入したわけですが、部屋の中でフォクトレンダーを付けたX-T1をあれこれ触っていたら、やっぱり電源関係なしにファインダー覗いたらレンズの先の光景が見えるレフレックスカメラの魅力に改めて痛感してしまいました(意味ないけどレンズからもファインダーの先の光景が見えるってのもなんか魅力的)。
なんといってもOVF(Optical view Finder=光学ビューファインダー)の見えやすさ&生々しさは、X-T1の評判のいいEVF(Electric view Finder=電子ビューファインダー)でもかなわない。
もちろんX-T1でも撮影に難儀するほど見にくいわけじゃないので大丈夫なのですが、元ジャンキー(笑)のMEスーパーと比べてもOVFのダイレクト感は圧倒的に心地良く感じます。
そこでふと「このフォクトレンダーレンズをレフレックスカメラで覗いてみたい…ついでにフィルムでも撮影してみたい」という欲求が湧いてきました。
しかしもちろんMEスーパーにはニコンマウントレンズは付けられない(フォーカルレデューサーアダプターは存在するけど、どこの馬の骨とも知れぬレンズが1枚間に入るのは少々納得行かない)ので、ここはやはり中古でニコンのフィルム一眼レフ(もちろんレトロな年代のやつ)を買ってしまおうかなと思い立ちました。

てなわけで、以前からデザインが好きだったEMとかFGあたり(安いし)を探している内に「プラ外装の多いEMとかよりも、金属外装の方がいいかな」となってさらに「AEオートはMEスーパーがあるから、どうせ買うなら機械式シャッター(電子制御じゃないやつ)がいいなぁ」とニコンFから調べ始め、F2にたどり着き、いろいろ調べていくと、測光素子の素材と露出計の種類で悩むことに。
というのは、F2もFと同様ファインダー部分が様々なタイプに交換できるようになっているのですが、露出計を内蔵しているファインダーにも何種類かありまして(露出計の無いアイレベルファインダーってやつだと急に高価になるのでこれは却下。シロウトだから露出計無いと困るし、別体のものを使う気はないし)測光素子の素材がCdS(硫化カドミウムを使用している古いタイプ)とSPD(フィルムカメラで主流となったシリコンフォトダイオード)の2種類があり、CdSは経年劣化しているものが多い(劣化しやすい)らしく、その点を考慮するとSPDの方が絶対いい(ちなみにMEスーパーはGPD=ガリウムヒ素リンフォトダイオード。後年、素材の有害性等から使われなくなった)。
露出計も2種類あって、一つは指針式というアナログな針メーターで表示されるタイプ。もう一つがLED式。
F2のLED露出計はLEDが3個しかなく、これが妙に使いづらそうな印象だったので、露出計は指針式がいいなと。
ところがF2ではSPD素子で指針式ってのは存在しないようで…CdSの指針式か、SPDのLED式か。なんで〜。
そんなわけでSPD素子を使ってる他の機械式シャッターの機種を探してみると、F2より新しいFMシリーズが見つかります。
FM、FM2はSPDだけどLED式露出計なので却下。でもFM3は指針式!
機械式シャッター(FM3は電子制御も可能なハイブリッドシャッター)で指針式露出計でSPD測光素子なんて完璧じゃん!と中古を検索してみると…た、た、高けぇ〜!最安でも4万円台!?
最初探してたEMなんて数千円で買えるってのに(軽自動車と高級車を比べるようなもんなので当たり前だけど)。
結局あーだこーだと悩んだあげく、電子制御シャッターだけど機能的にはほぼFM2と同等(ちょい上)で指針式露出計のFE2に絞られていきました。
一瞬FEでもいいじゃんと思いますが、シャッタースピードが最大1/1000秒ってのはMEスーパー(1/2000秒)より劣るので、1/4000秒のFE2となるわけです。
MEスーパーでは夏のピーカン屋外で少々厳しいシーンもあったような気がしたので1/4000秒もあれば余裕でしょうという思いもありました。
んで検索してみると…1万〜2万円台。おぉ、買えなくはない値段(当初の予定では数千円のジャンクギリギリのEMにするつもりだったので2万以上は出す気がない)。
その中から、程度の良さそうなものを選んで購入〜!ついでに取り扱い説明書も探して買っちゃいました↓
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本体は16,590円、説明書は972円(共に送料・税込み)。
まず驚いたのは、新品と見まごうばかりのその外見。ピッカピカやん!
確かにネット上で「程度良さそうだな」と思わせてくれた箇所があったのですが、ここまでピカピカだとは思ってもみませんでした。
背面・底面・内部↓
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バーコードシールはショップの管理タグだと思います。
底面は傷がつきやすい箇所ですが、ご覧の通りピカピカ。前オーナーさんは絨毯の敷いてある保管庫にでも入れてたのでしょうか。ていうかこれ使ってたのかなぁ?
レンズの時にも同じようなこと言ったけど前オーナーさん、大切に保管してくれてありがとう!
内部はフィルムが乗るガイドの上部分に少々アルミ腐食らしき部分が確認できましたが、蓋を閉めると対面側にくるフィルム押さえの板(たぶんアルマイト処理したアルミ)との間に起きた何らかの腐食っぽく見えます。
その対面の板は相対する箇所に、黒アルマイトが1mm程度の大きさで剥げてる点が3〜4箇所あるくらいで腐食はしておらず、使用に支障は無さそうです。

前述の「程度良さそうだなと思わせてくれた箇所」というのはこれ↓
04.jpg
この写真はサイトに貼られていた写真なんですが、赤矢印部分のモルトがかなり新品っぽい。
他にも程度良さそうな個体はあったのですが、全てモルトが劣化してそうな感じだったのでこれを選んだわけです。
これならモルト交換する必要もないかなと思ったのですが、モルト交換どころか掃除する必要も無かったとは。
もちろん届いてから確認するとモルトはやはり新品同様でした(背面のモルトも同様)。

そしてありがたい装備も付属してました↓
05.jpg
視度調整レンズです。
ぼくは近視なのですが、この-3.0でバッチリでした。助かるわ〜。
ちなみに健全な目をお持ちの方はわからないかと思いますが、近視の人が視度調整できないファインダーを裸眼で覗くと、どんなにがんばってもピントが合ってるようには見えないのです(悲)。なのでスプリットフォーカスがあればかなり助かるのですが、それでもスプリット内の像はぼやけてるのであまり気持ちよくありません(ピントが合ってない時の方がクッキリ見えたりする)。
なので今まではメガネかけたまま覗くことでなんとかしてましたが、やはりメガネの厚み分目を離すことになってファインダー内視界が狭くなるのが難点でした。
そんなお悩みもこれでオサラバ!
そして実際にレンズをつけて覗いた印象は…クッキリハッキリ気分いい!
レンズもファインダーもほぼ新品同様なので、今までのゴミだらけのアサペンSPや、マット面がザラついて見えるMEスーパーより遥かにクリアな視界!
しかもこのFE2のファインダーはファインダースクリーンを簡単に交換できるので、さらに明るくなるというFM3用スクリーン(いろんな種類があるけどもちろんスプリットマイクロ)を後日注文して交換したのでさらにクリア度アップしました。ついでにアイカップとシンクロターミナルキャップも購入。今も新品の部品が買えるってのはありがたい。

そのファインダー内の様子(これはスクリーン交換前なのでFE2純正です)↓
11.jpg
左に見えるのが露出計、上部の窓が絞り数値。
絞り数値はレンズボディにある刻印をペンタ部前面にある小窓からプリズムを通して投影するようになっているという100%アナログ機構。
露出計は上の緑針が本体シャッターダイアルの位置。Aは絞り優先オート。
下の細い針が露出計のはじき出したシャッタースピードを指します。この時点では電源オフ。
レリーズボタン半押しで電源オンになり、ピコンと黒い針が持ち上がり、その時捉えた像の中央部で測光したデータと絞り数値に基づく適切なシャッタースピードを指します。
マニュアルの場合、シャッタースピードダイアル回して緑針を黒い針に重なるようにセットすれば大丈夫、という仕様。意図的にその針セット位置をずらせば、露出オーバー&アンダーも演出可能。非常にわかりやすい。
ちなみにレンズから本体への絞り数値の伝達はもちろん電子接点ではなく、レンズマウント部にある突起のある輪っかをレンズの絞りリングが引っかかって動かす、というこれまたアナログな「Ai方式」という機構。
フォクトレンダーレンズのニコン用マウントのものもちゃんとAi方式(厳密に言うとCPU&電子接点を搭載したAi-s方式)になってます。
↑訂正:Ai-S方式というのは、Ai方式採用以降に登場したSS優先AE等のプログラムAEの際に起きる、カメラ本体側からの絞り値コントロールにおける誤差を無くすために改良されたAiレンズのこと。
AiレンズとAi-Sレンズの見分け方は、レンズの絞り環最小値(一番絞った数値)がオレンジ色になっているのがAi-S。
ちなみにCPU内蔵のMFレンズは「Ai-P」というらしい。2016年11月8日訂正。
FE2は自動絞り機構(SS優先オートではない)なので、レンズを取り付けると絞り自体はどこに設定してても基本的にシャッターを切った瞬間だけ閉じるようになっており、撮影毎にいちいち絞りリングをいじらなくても開放で精密なフォーカシングが可能(測光精度の向上効果もあり)。
さらにレンズ横にあるレバーを押すことで絞りを作動させて被写界深度を確認することもできる、というアサペンSPでもお世話になったプレビュー機構が搭載されてます(この機構好き)。
もちろんフォクトレンダーレンズもこのプレビュー機構に対応してます。
MEスーパーはこれが出来なかったのが残念ポイントでした。
ちなみにX-T1にもデジタルなプレビューモードはありますが、さすがにMFレンズの機械式プレビューはできないので、MFレンズで精密フォーカスする際は、いちいち絞りリングを開放にしてピント合わせてから、絞りを任意の位置にセットしないとならずちょい面倒(ペンタックスのオートタクマーみたいなスイッチがレンズに付いてればもうちょい楽ですが)。

というわけで、フォクトレンダー ノクトン58mmを付けたFE2のお姿↓
07.jpg08.jpg
キャ〜カッコイイ〜!!
やっぱりゴムリングより金属削りだしリングの方が絶対イイ!
ただちょっと欲を言えば、本体ダイアルの文字は印刷じゃなくて凹モールドだったらもっとよかったなぁ。
レンズ部分の長さはX-T1のようにアダプターを必要としないのでレンズ本来の長さに。ザ・標準レンズって感じ。

カラースコパー20mmを付けたお姿↓
09 のコピー.jpg10.jpg
やっぱこれもいいっすね〜。
これで58mmも20mmも本来の画角で撮影できます。フィルムだけど。
でもそのフィルムがまた楽しみなんすよね〜(超広角域のフィルム写真が特に楽しみ)。
こないだMEスーパーで撮ったのは劣化したASA100と新品ASA400でしたが、次は新品のASA100で撮りたいと思います。

黒い三連星↓
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なんかもはやプラモデルとかモデルガンみたいな楽しみ方のような…いや、ちゃんと写真も撮るぞ〜と言いたいところですが、ここ2日は首を激しく寝違えて外に出れず。
posted by 文鳥 at 01:57| 東京 ☁| Comment(4) | カメラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも詳細な説明でスバラシイです。非常に参考になります。
ネット購入では、詳細な画像が出ているのでしっかり選べば失敗は少ないかもしれませんね。
ただ過信は禁物!私はきれいな中判カメラのKOWA SIXをちょっと高値で手に入れましたが、付属のグリップからのびるレリーズが切断状態でした(泣)
あとからその画像を見ると、意図的に写していないように感じる構図でした。
それはそれとして、FE2なんて意外なところへ行きつきましたね。わたしだったらFの一桁に直球だったと思います。
それだけに今回のレポートで、その他のニコンに興味が湧いてきました。
ファインダーを覗いてチリひとつ無いなんて、クラッシックカメラでは皆無ですからうらやましいです。
実写報告を楽しみにしています!
Posted by goto at 2015年12月18日 09:26
>goto様
KOWA SIXってまた洒落たカメラですね〜。
通販の品定めは半分運任せなところもありますよね(笑)。
しかしレリーズ切れてるのを明記してないって、けっこう悪質ですな…。クレーム入れてもいいレベルだと思いますよ。
カメラ屋さんは真面目な人が多い印象だから、そういうショップがあるとは思いませんでした。以後気をつけた方がいいですね。

FE2は発売が1983年だから、70年代好きなぼくとしてはたしかに少々邪道な選択ではあります(笑)。が、デザインはかなり70年代風味なのでお気に入りです。まぁ初代FM、FEの70年代後半の発売からデザイン変更してないから70年代っぽいのは当然なんすけどね。
F一桁シリーズはF3までは選択肢に入ってたんですが、FやF2は本文にある通り測光素子や露出計の好みで却下して、F3はデザインが少々80年代っぽすぎるのでFM、FEの方に目が行ってしまいました。でもFシリーズのペンタ部丸ごと交換できる機構は面白いですね。
あとFM、FEと同時期のモデルにEL2というのもありまして(ニコマート最後のモデルだけど銘板表記はNIKONってやつ)これもSPD素子の指針式露出計で、いい感じの中古も見つけたんですが、デザインが若干60年代の面影を引きずっているような感じだったので、より好みに近く、Ai方式マウントのFE2を選んだというわけです。

とまぁ今回いろいろニコンについて調べまくったんですが、種類が多すぎてややこしいですね(笑)。
ペンタックスもかなり種類豊富ですが、ニコンほどややこしくはなかったです。
キャノンやオリンパスは全然調べてないからわからないですが、やはり日本でフィルムカメラ業界が盛り上がってた当時(60〜80年代)はどこのメーカーもいろんなの作ってたみたいですね。
当時リアルタイムでカメラ趣味やってた人はさぞや楽しかったろうなぁと思いを馳せてます。
その遺産がレトロもの好きでコレクター気質なぼくにとっても魅力的な世界になってるわけで、そんな文化を作り上げた当時のエンジニアさんやマニアの方々には感謝ですね(笑)。

>ファインダーを覗いてチリひとつ無い
そうなんすよ、まさかこんな新品同様な個体が安価な値段で手に入るとは思ってなかったので嬉しさひとしおです。
しかも機種によっては数十年前のパーツが今でも新品で楽に入手できるのが凄いすね。
バイクや車じゃなかなか考えられない話です。
Posted by 文鳥 at 2015年12月18日 14:51
たしかにF3はデザインで除外ですね。F3にするのならF4にすると思います。
70年代のデザインを残しているFE2はナイスチョイスですね。電池もまだ市販されているし、シャッターもチタンでしたっけ?
シャッタースピードの1/4000も魅力的ですね。
もしかしたら私も買ってしまうかもしれません(笑)
KOWA SIXは、運がなかったとあきらめました。
オークションで手に入れたのですが、同じような苦情がいくつかあったので、確信犯だったんだと思います。
出品されているカメラはどれも詐欺と思えるほどきれいに映ってますし。
ただ普通に使えそうなので大事に使ってみようかと思っています。
しかし、そんな無駄使いせずにとっととライカのRレンズを買え!って感じでもあるんですが(笑)
Posted by goto at 2015年12月18日 16:08
>goto様
FE2、いいっすよ〜(悪魔のささやき)。
ただ、チタンシャッター幕はブロワーの風当てるのもダメと言われるくらいデリケートらしいです。
検索するとフィルムの巻き上げかなんかでミスって(フィルムの端が当たったままシャッターを切った?)シャッター幕壊れちゃった人もおられるようなので、これは気ぃ使わないとやばそうです。
実際見てみるとフィルムより薄く見えますが、さらにそこにハニカムモールドが施されているから驚き。
とても金属とは思えない、まるでオーパーツのような、現代の科学力では作れない物体のような凄さ(大げさか)を感じます。

最大1/4000秒シャッターは当時としては凄かったんでしょうね。なんせ現代の最新デジカメであるX-T1も最大1/4000秒ですから(笑)。

KOWA SIXはオークションでしたか。
まぁでも使えるようで幸いでしたね。
オークションではぼくも過去に酷い品をつかまされたことがあります。
XR(ME06)のステアリングステムなんですが、写真で見る分にはそれほどボロくなかったのが、届いてみたらニードルベアリングはバラバラで、シャフトは錆々の酷い有様でした。
幸い、返金には応じてもらえましたが、捨てるにも難儀するゴミが増えるという結果に。
やっぱり中古の通販は多少高くてもちゃんとした(できれば実店舗をちゃんと営業してて、通販の実績もある)ショップで選んだ方が無難ですね。

>そんな無駄使いせずに
こういう趣味ってあれこれ欲しくなっちゃうんすよね〜(しみじみ)。
最初は「これ1個ありゃ十分でしょ!」とか思うんですが、使っている内にあれやこれやと新たな欲が出てきて、品探しの旅に出発しちゃうという。趣味人の宿命とも言えますな(笑)。
Posted by 文鳥 at 2015年12月18日 17:36
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